遺言Q&A
Q1.どんな場合に遺言をしておくとよいのですか?
A1.遺言を活用し得る場面は様々ですが、相続人が大人数となる場合、相続人の中に判断能力を欠く者や行方不明者がいる場合、相続人間の感情的対立が予想される場合、相続人の相続割合を調整したい場合、相続人以外の者に財産を渡したい場合などが典型的です。
相続を「争族」にしないため公正証書遺言をお勧めします。
Q2.遺言の方法にはどんな種類があるのでしょうか?
A2.遺言には「普通の方式」(自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言)と、特殊な状況下において行う「特別の方式」(死亡危急時遺言、伝染病隔離者遺言、在船者遺言、船舶遭難者遺言)があります。
相続を「争族」にしないため公正証書遺言をお勧めします。
Q3.自筆証書遺言とは何ですか?
A3.自筆証書遺言とは、遺言者が、全文、日付、氏名をすべて自筆し、押印する形で作成する遺言です。遺言者1人で作成できる遺言ですが、遺言者の死亡後の各種手続に際し、家庭裁判所での「検認」の手続が求められます。
・自筆証書遺言のメリット⇒「手軽に作成できる」、「1人で作成できる」、「費用がほとんどかからない」
・自筆証書遺言のデメリット⇒「形式や内容に不備が残る可能性がある」、「保管や管理が難しい」
Q4.どのような場合に自筆証書遺言(自分で作った遺言)が無効となってしまうのでしょうか?
A4.自筆証書遺言では、「遺言書全文の自書」「日付の記載」「氏名の記載」「押印」が要件となっており、これらが1つでも欠けると、自筆証書遺言は無効となります。
Q5.公正証書遺言とは何ですか?
A5.公正証書遺言とは、遺言者が、公証人の面前で遺言の内容を伝え、それに基づいて公証人が遺言者の意思を正確にまとめ、公正証書という形で作成する遺言です。作成する際には、2人以上の証人が必要になります。
・公正証書遺言のメリット⇒「法的に問題のない確実な遺言を作成できる」、「検認が不要」、「公証役場で安全に保管される」
・公正証書遺言のデメリット⇒「費用がかかる」、「証人が2人以上必要」
Q6.どのような場合に公正証書遺言が無効となってしまうのでしょうか?
A6.当時の遺言者に遺言能力がない場合に、公正証書遺言が無効となる場合があります。ただし、遺言能力の有無は公証人が確認しますので、公正証書遺言が無効となる場合は多くありません。
Q7.前に書いた遺言書を変更したいのですが可能でしょうか?
A7.遺言書の変更はいつでも可能です。また、遺言書の内容を話してしまっていても変更は可能です。
Q8.前に書いた遺言書をなくしてしまった場合はどうすればよいでしょうか?
A8.自筆証書遺言の場合は、遺言書は遺言者自身が保管するものであり、遺言者が遺言書を紛失してしまった場合には、事実上、遺言書が存在しないのと同じ状態になってしまいます。したがって、遺言者としては、遺言書を再度作成する必要があります。
公正証書遺言の場合、遺言書は3部作成され、1部は公証役場に保管されています。したがって、遺言者が手元にある遺言書を2通とも紛失してしまったとしても、少なくとも公証役場に遺言書1通は残っており、遺言書の効力に影響はありません。
Q9.遺言書で孫などの相続人でない者に財産を渡すこともできるのでしょうか?
A9.遺言で相続人以外の者に財産を譲ることも可能であり、包括遺贈の方法と特定遺贈の方法があります。ただし、遺留分への配慮は必要です。
Q10.妻の老後の面倒をみなければならないという遺言書は有効なのでしょうか?
A10.遺言書を作ることはできますが、老後の面倒を誰が見るかという点は法律で定められた遺言事項ではないので、法的な効力はありません。もっとも、負担付遺贈の形にするなどの工夫の余地はあります。
Q11.息子が先に亡くなってしまう場合も考えて遺言書を作れるのでしょうか?
A11.作れます。例えば、長男の妻に譲りたいとお考えの場合において、遺言書において、「仮に長男が遺言者(私)より先に死亡した場合には、長男の妻に自宅を遺贈する」と記載しておけば、改めて遺言書を作成せずとも、長男の妻に自宅を譲ることができます。
Q12.遺言執行者とは何ですか?
A12.遺言執行者は、遺言者自身に代わり、遺言の内容実現に向けて必要な一切の事務を行う者であり、遺言者自身が遺言で指定(長男などの相続人も可能)しますが、その指定がない場合には、相続人等の選任請求に基づいて家庭裁判所が選任することになります。遺言執行者の要否は、遺言の内容によって異なります。